杉浦明日美さん

杉浦明日美さん

医者になって10年目になった。医学部6年生の臨床実習で救急科をとり、そこで集中治療に出会い一瞬で虜になり、それから11年。想像を遥かに超えた幸運な出会い、チャンスのお陰で今、トロントにいる。

日本では各科の医師が集中治療室の急性期重症患者を管理する。私自身は医師免許取得後、麻酔科、救急科の修練を積みながらいずれ「欧米型」の集中治療を学びたいと願っていた。欧米型というと、集中治療室に入室した患者は他のどの専門医でもなく「集中治療医=Intensivist」が全身管理を行う。Intensivistはそのためにトレーニングを積んだエキスパートだ。

カナダ、トロントは集中治療部門の世界最高峰と言える臨床・研究・教育を兼ねそろえた地である。2009年にトロントのIntensivistが招請講演で日本に来た際、私の兼ねてからの願いを聞いたその師は、迷いもなく私をトロントでの研修に招いてくださった。

日本とトロントの医療を比べれば本当に大きな違いがある。まず驚いたのはこちらの効率主義、システム化を得意とする点である。日本なら主治医が患者の手を取り、最初から最後まで全ての面倒をみると言って過言ではない。こちらではチーム制。主治医も週替わりするという日本ではあまり想像もできないやり方で物事が進んでいる。

集中治療は人の生死に遭遇するというのはどちらも変わりないが、その場面がいかに文化的背景、人種、宗教観を反映するかということを思い知った。裏を返せば、日本がいかにトーンのそろった国であるかということを、海外に出て初めて感じた。

2012年からは研究の分野へも挑戦している。駆け出しであるが、ここでも指導医との大きな出会いにより一人のclinician-scientistとして温かく見守られながら自立へと導かれ、興味ある分野をのびのびと探求させていただいている。

超重症例が国中から集まり本当に学び甲斐のある臨床・恵まれた環境での研究、ともにトロントに居る幸運に感謝してもしきれない。それは数々の出会いなくしては実現して来なかった。今後どこにいようとも夢を忘れず、周囲で支えてくれる方々を大切にし、邁進していきたいと思う。
Asumi Sugiura, MD.
Research Fellow, Neurosciences and Mental Health, The Hospital for Sick Children
Clinical Fellow, Critical Care Medicine, University Health Network and Mount Sinai Hospital
Interdepartmental Division of Critical Care, University of Toronto, Canada

 

 

SOURCE: http://www.torontoshokokai.org/trillium/201402/zuihitsu_0214.html

Access the full content of this publication is available only to registered users. If you are an existing user, please log in. New users may register below.

Existing Users Log In
 Remember Me  
New User Registration
*Required field